太陽の風・月の空 14

(執筆日:2009年07月24日)

 私は見知らぬ美青年に向かって、おそるおそる問いかけてみた。
「あの、ここはどこですか……?」
「ここはリノディアス。おまえたちのいた世界とは、表裏一体の場所にある。普段は交流のない見ることもできない、まったく縁のないはずの世界だ。エディシアス帝国の呪術師たちの呪いにより、おまえたちの世界が破壊されるという情報を入手した。一刻を争う状況だったから、私はこの森で異世界へ通ずる歪みを発生させ、おまえたち二人をなんとか救出したんだ」
 ぬおあぁぁ……何を言っているのかまったくわからない……。
「どうして俺たち二人だけ?」
 各務くんが冷静に質問をした。美青年がわずかに眉をひそめる。
「覚えていないのか?」
 美青年の返事に対して、今度は各務くんが眉をひそめた。
「まあいい」
 美青年が軽く咳払いをする。
「私の名前はオルド。ガルディシア王国に仕える騎士だ。私の使命は滅びたガルディシア王国の復興。王家の者の命を再び復活させること」
 美青年の名前はオルドって言うのかぁ。背は高いし、目は切れ長だし、本当に美形。各務くんもカッコイイけど、まったく違う種類の美形。二人の美形に囲まれて、なんてため息の出る光景なの。
「……話、聞いてる?」
 各務くんが肩をつかんで、わっさわっさと揺すってきた。私はハッと我に返る。
「うん、聞いてる聞いてる!」
「ホントかなぁ」
 各務くんは疑うような目つきで私を眺めると、つかんでいた肩から手を放した。それから、少し怪我をしている自分の頬へと触れる。私は慌てた。
「洗ってない手で、傷をさわっちゃダメっ」
 ガシッと各務くんの腕をつかむ。制服のスカートのポケットから、ハンカチを取り出そうとして、あまりにもグシャグシャだったから心底から慌てた。
 女の子らしさをアピールする瞬間だったのに、これじゃあ全然ダメじゃん。

つづく

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