(執筆日:2008年01月27日)
龍介はもう少し酒場のマスターに聞いてみることにした。
「このゲーム、アダルト要素があるって聞いたんですけど、それっていったいどこにあるんですか?」
「残念だったね。スタートの街は健全仕様になっているんだ。エッチなことをやりたいのなら、まずこの街から出ることだよ。そういう質問する人って本当に多いんだよね」
「……あはは……」
龍介は急に恥ずかしくなってきた。
「ただ、この街にも宿屋はいくつかあるから、初級者同士で意気投合してそういうことになっても……不思議じゃないがね」
「……プレイヤー同士でってこと?」
「どうしてもというのなら、気の合う相手を探してみるといいよ」
「はいっ。そうしまっす」
俺は嬉々として酒場を後にした。
外に出ると、急に空が暗くなった。不思議に思って龍介は顔をあげる。どんよりとした曇り空だった。今にも雨が降りそうな……。
降ってきた。
モンスターが。
「えっ、嘘っ」
いきなりのことに龍介は慌てた。初心者だらけのこの街なら、治安は確かなはずだ。モンスターはみんな外壁の外のはずだ。何かの間違いではないのかと疑った。
モンスターは人型で、熟練度も経験値もない初級者が戦うには強すぎるのではないかと思える体格だ。とても勝てそうにない。
龍介はたちまち三匹のモンスターに囲まれた。慌てて短剣を取り出したものの、使い方すらほとんどわからない。
「ウマソウダナ」
言葉も話せるようだ。攻撃してくる様子はなかったが、たちまち龍介の腕や腰はつかまれ、路地へと引きずり込まれた。
「うっわあぁぁぁ……っ」