旧・悠久の大陸 7

(執筆日:2008年01月27日)

 ほぼ三十分ほど待ってから、龍介は再びゲームを開始した。
 戻った場所は、消えた時と同じだった。酒場の中を見渡したが、先ほどの青年はいなくなっていた。
 なんとなく安堵して、龍介は酒場のカウンターへと座った。
 初老の酒場のマスターに声をかける。
「あの、あなたはNPCですか?」
「そうですよ」
「聞きたいことあるんですけど、NPCって主にどういうところにいるんですか?」
「店の店員や、家で暮らしている人たちのほとんどがそうだね。現実の人として実在しているプレイヤーたちは、みんな冒険者だ。ただ一部例外がいるよ」
「例外?」
「特殊な職業に就いて仕事をしている人たちもいる。彼らはほとんど冒険をしない。例えば服や武器などのアイテムを生産している人たち、料理が得意でバザーを開いている人たち、あとはそうだね、身売りをしている人たちもいるよ」
「み、身売り?」
「彼らはみんな同じ街に集まっている。どこでも商売できるわけじゃないんだ。商売をするには許可証がいるからな。あとその職業に就くためのスキルもいる。熟練度さえ高ければ、なんでも望みの職業に就けるんだ。戦士にも魔法使いにも賢者にもね」
「熟練度……」
 身売りをしている人の熟練度っていったい……。
 龍介はちょっと悩んでしまった。
「この街の外に出るには、許可証がいるって聞いたんですけど、それってどうすれば手に入りますか?」
「そうだな。武器屋のロンダさんなら知ってるんじゃないかな」
 こういうところはしっかりと、ゲームによくある仕組になっているようだった。
「武器屋のロンダさん探しか……かったりぃ」
 早くも龍介は腐りそうになった。コントローラーを使ったテレビゲームなら、すぐにそのロンダさんとやらを探しに行くのだろうが、実際に自分の足で歩いて探すとなるとかなり面倒くさい。

つづく