旧・悠久の大陸 3

(執筆日:2008年01月26日)

 酒場のカウンターの隣に、箱があった。まるで証明写真を取る時に入る箱によく似ている。案内に従いながら初心者たちが次々と入っていく。龍介も列に並び、入り口から箱の中へと入った。
 箱の中は真っ暗だった。先に入った人がいるのかと思ったら、誰もいない。真っ暗とも少し違い、周囲はまるで星を散りばめたような宇宙空間に似ていた。
『これからあなたの設定を決めます』
 どこからともなく声が聞こえ、目の前に何かの画面のようなものが開いた。スクリーンには自分の現在の姿が映り、文章による説明文と設定用のボタンも並んでいる。
 そこでは自分のキャラクターの基本設定が行なえるようになっていた。
「性別は、もちろん男。顔、顔?なんか色んなパラメーターがいっぱいあって、わけわかんねぇなー。初心者にいきなりこれ操作しろっつーほうが無謀じゃね?」
『このゲームではリアルのあなたの顔を取り込むこともできます』
「……それはちょっと……」
 普通のRPGならともかく、ちょっとエッチなことを期待している身としては、現実の自分と同じ顔では非常に都合が悪い。
『あなたの顔を取り込んでから、パラメーターを変えることも可能です』
「じゃ、それで」
『了解しました。あなたの記憶の中にある自分像が取り込まれるので、正確な顔とは微妙に変わることをご了承ください』
「まぁ、どーせ変えるんで問題ないっす」
 スクリーンには龍介の顔が映った。自分でボタン操作しなくても、ここをああしろ、そこをこうしてくれ、と言うだけでもコンピュータの方がやってくれるようだ。
 実際よりも背を高めにして、もともと悪くない顔をさらにイケメンしてもらう。
「……なんか整形してる気分だな」
 もともとエッチなコンテンツが目的という不純な動機で始めているので、女にモテる顔でなければ意味がなかった。RPGだからモンスターがいたり魔法を使って戦ったりもするのだが、龍介の目的はそちらではないのだ。

つづく