(執筆日:2008年02月02日)
酒場のカウンターに座らされた龍介は、心の中で自分の不運を嘆いていた。
(なんてついてないんだ俺は。もう二度と遭遇しないようにしようとしてたのに。はっ。まさかこいつ、いつか俺がここに来ると思って張ってたとか?ありうる)
龍介の目の前に酒の入ったグラスが出てきた。とにかく酒でも飲んで悲しみを忘れてしまおうと、龍介は一気に飲み干した。
「いいもの作ってきたんだ」
横からエルクが声をかけてきた。
「……いいもの?」
不吉な予感がした。エルクがにやりと笑う。
「そ。いいもの。すっげーいいもの」
「……さよなら」
席から立ち上がり逃げようとした龍介の腕を、すかさずエルクがつかんだ。
「試してみようぜ、リュウ」
「遠慮しますっ。遠慮させてくださいっ」
「まずは宿屋に泊まろうか」
「やだつってんだろがっ、このボケッ」
「ちょうど酒場の目の前に宿屋があんだよなー。なんて都合がいいんだ」
「俺の話を聞けーっ!」
龍介は強引に腕をつかまれ、否応なく宿屋へと引っ張られた。
暴れたせいなのか、龍介の手首と足首は枷で拘束され、ベッドの上に転がされた。
「……やっぱり鬼だ。悪魔だ。なんて強引なんだ」
しかも全裸にされてしまった。
エルクは荷物の袋からなにやら取り出している。その手元を見てみると、バイブレーターによく似た形のものが出てきた。龍介は反射的にゾッとする。
「……おまえ、それ、なに……」
声がフェードアウトしてしまう。エルクはあっさりと答えをくれた。
「ん?これ?こないだ、おまえがつかまったキノコから作ったやつ」
「…………」
龍介は言葉をなくした。