旧・悠久の大陸 28

(執筆日:2008年02月02日)

 頭が働かないまま龍介は食事を摂り、ぼんやりとテレビを眺めていた。
 食事を終え、ゲーム機の本体へと視線を向ける。
「……なんかすげー心の葛藤が」
 戻りたくないような、戻りたいような、微妙な気持ちが交錯する。
(もし、俺がもう二度とゲームやらなかったら、あいつどうすんだろ?……どうもしねぇか。単にオモチャがなくなったぐらいにしか思わねぇんだろな。っつうか、あいつと離れた場所でゲームできねぇのかな?)
 龍介はゲームの続きを翌日に再開することに決めた。その間に、エルクと時間の擦れ違いがあればいいなと願いながら。

 翌日、ゲームを始めると宿屋のベッドの中だった。恐る恐る周囲を眺めたが、エルクの姿はどこにもない。
「おしっ」
 反射的にガッツポーズをしながらベッドから降り、さっさと宿屋を後にした。
 幸い、武器も防具もエルクの資金で買ってもらったものがある。短剣とは違い、きっともっと戦いやすいはずだ。
 龍介は街中のNPCたちに声をかけながらクエストをクリアし、街門を通過するための許可証を手に入れた。
 外に出ると笑えるほど弱いモンスターばかりで、戦うのを怖がってた自分がアホらしくなった。さくさくと経験値とお金を手に入れ、次の街へ行くことにした。
 途中、森の中を通過するのだが、これまた弱いモンスターしか出てこない。あっさりと次の街へ到着し、龍介は酒場へと足を踏み入れた。
「よぉ」
 エルクがいた。ギョッとした龍介は、速攻で回れ右をする。酒場を出たその瞬間、ガシッと背後から肩をつかまれた。
「俺の顔見るなり逃げるのって、どういうことかな?」
 低い低い声で、耳元に囁かれた。

つづく