旧・悠久の大陸 21

(執筆日:20080129日)

「なんで俺がおまえの用事に、つきあわされなくちゃならねぇんだよっ。おまえの用事だろっ。おまえが行けよっ」
「だったらここから自力で帰るか?途中強いモンスターがうじゃうじゃいるんだけどなー。おまえワープもできねぇんだろ?」
「鬼っ」
 否も応もない。龍介の逃げ道は完全に閉ざされていた。
 弱腰な足取りで森の中を進んで行く。途中でモンスターが現われる恐怖を何回も味わったが、その都度、どこかからエルクの魔法が飛んできた。そのせいか、龍介の気持ちが少しずつ落ち着いてくる。どうやらエルクは、龍介を殺したいわけでも怪我をさせたいわけでもないようなのだ。
(てことは、戦いにチャレンジしてみてもいいのかな?どっちにしても助けてくれそうだし)
 そんなことを考えた龍介は、次のモンスターが出てきた時には戦ってみようと心に決めた。そろそろ経験値と熟練度もあげなければ、RPGに参加している意味がない。
「おっしゃ」
 ひそかに気合を入れる。まだ一度も使っていない長剣を、構えなおした。と、その瞬間、横の方からまたヒョウに似たモンスターが飛び掛ってくる。焦りながらも龍介は剣を振り下ろした。
「こらっ。無茶すんなっ」
 どこかからエルクの怒鳴り声が聞こえてきた。飛び掛ってきたモンスターが剣をかいくぐり、そのままエルクの肩へと噛みつく。
「うわあぁぁっ……」
「このバカタレがっ」
 エルクの放つ魔法がモンスターを直撃した。あっという間に四散するモンスター。しかし、同時に龍介も消えそうになった。と思ったら、無事だった。
「……あれ、死なない?」
「HPがゼロになったらすぐに蘇生する魔法かけてんだよ。おまえはバカかっ。おまえみたいなレベルの奴が戦える場所じゃねぇんだからっ」
「だったら、こんなとこ連れてくんなっ。バカはどっちだよっ」
 言い合いの応酬になってしまった。

つづく