旧・悠久の大陸 2

(執筆日:2008年01月26日)

 龍介はいそいそと布団に横たわった。まぶたを閉じればゲームは自動的にスタートする。
 眠るのとは少し違う。意識ははっきりと覚醒しているのに、目に見える世界はゲームの中にある光景なのだ。

 スタート地点はどこかの酒場だった。
 お酒は二十歳からという決まりがあるはずなのに、このゲームは十八歳以上なら購入できる。龍介はそんな矛盾点をつい考えてしまったが、軽く頭を振って細かいことを考えるのをやめた。
「いいんだよ。ゲームなんだからさっ」
 そう自分に言い聞かして、周りを見渡した。
 龍介と同じように今まさにスタートしたばかりの人たちが、続々と現われる。空中からフッと湧き出るように現われるものだから、人とぶつかるのなんて日常茶飯事らしい。
 みんな同じ服を着て、同じ顔をしていた。スタート時はデフォルトで全て男性と決まっているようだ。正直に言うと気色悪い。
「こりゃ早く、デフォルトから脱出しなきゃな。気持ち悪すぎる」
「はーい、初心者の人、こちらでゲームの説明受けてくださーい」
 酒場のカウンターの中にいる女の人が、大声をあげている。ゲーム製作会社の社員の人だろうか。それともプログラムで作られているNPC(ノンプレイヤーキャラクター)だろうか。
 龍介は歩き出して、酒場のカウンターの中にいる女性に近づき、まじまじと見つめた。
「……わからねぇ。本物か作り物かわからねぇ」
「あの、どうかしましたか。初心者の方なら、これから始める説明を聞いてくださいね」
「あなたは本物の女性ですか?」
「私はNPCです。実在していません」
 よく聞かれるのだろうか。女性は笑いながら答えた。プログラムで作られたキャラクターにしては、リアクションが高度だ。
 龍介はおとなしくゲームの説明を受けることにした。

つづく