旧・悠久の大陸 14

(執筆日:2008年01月27日)

 龍介の頭の中がぼうっとしてきた。意識がふわふわとしはじめる。同時に体内が急に熱くなってきて、なにかが疼きはじめた。
「……なに、これ」
「催淫の粉」
「はあ?」
 龍介はぎょっとした。冷静さを取り戻そうと必死で頭を振ったが、粉の力にどんどん負けていく。
 その時、エルクの手首についていたブレスレットが音を鳴らした。と同時に、エルクが慌てる。
「うわ、もう時間か。いいところだったのに」
「え……」
「三十分たったら戻ってくるから、それまでいい子にしてな」
「えっ、待てよっ。俺、このまんまっ?」
「じゃあな」
 エルクの姿が霧のように消えていった。蔓に吊るされた状態のまま、龍介は慌てふためく。
「やだよっ。おいこらっ。俺を置いて消えんなよーっ」
 室内はしんと静まり返ってしまった。
 龍介の体内はどんどん熱くなってきて、呼吸も乱れてきた。蔓を操る人間がいなくても、魔法の力かなにかなのかしっかりと固定されたままだ。
「やだ……助けて……熱い……」
 龍介は身体の熱さに耐えられず、切なげに身じろいだ。
 こんな状況は拷問と同じだ。妖しい疼きが体内を駆け巡り、頭の中が煮えたように熱い。短く浅い呼吸を必死で繰り返し、冷静さを取り戻そうと努力しているのに叶わない。
 いっそ手を伸ばして股間にあるものを扱きあげてしまおうか。そんな衝動にかられるが、龍介は必死で耐えた。
 こんな目に遭うのなら、素直に抱かれた方がよかったのだろうか。そんなことすら考えてしまうほど、龍介は切羽詰っていた。
 このまま三十分も待たされるのは地獄でしかない。

つづく