旧・悠久の大陸 10

(執筆日:2008年01月27日)

 宿屋のベッドにうずくまり、ひたすら落ち込みまくっている龍介をほっといて、青年は買い物に出かけてしまった。
 しばらくして部屋のドアが開く。青年は驚いたような声をあげた。
「おまえまだ泣いてんの?」
「……うるさいよ……」
 涙の止まらない顔をあげて、龍介はすねた。
「こんな怖い思いしたの、生まれて初めてなんだよ。俺、今まで殺されそうになったことも、犯されそうになったこともないんだから」
「あのさ、このゲームってRPGだから死ぬの日常茶飯事なんだけど。おまえ、そんなんじゃゲーム進められねぇぞ。どうすんだよ、ラスボスと戦う時」
「頭じゃわかってたんだよっ。でも実際にそういう場面に遭遇すると、身体動かねぇし、頭真っ白になるし……。テレビゲームでコントローラー握ってんのと、こんなに違うと思ってなかったんだよっ」
「まぁな、テレビの画面見て操作すんのと、実際に体験するのとじゃ天地ほども違うけどな。でもそこはやっぱりゲームだから、血が飛び散ったりもしねぇし、モンスターの死骸が転がってることもねぇし」
「それに俺、アダルトなのが入ってるっていうから、それにつられて……」
「あぁ、やっぱりそこなんだ。多いんだよな、そーゆー奴」
 青年が呆れたように鼻で笑った。
「困るんだよな。ゲームやったことねぇ奴らまで、アダルトにつられて入ってくるから。約10万もするハード買って、ソフトまでそろえちゃって、でもゲームの内容についてこれない奴ら。ご苦労さんだよなー」
「お、俺は……ゲームやったことない奴じゃねぇからな。テレビゲームとか携帯ゲームだったら得意なんだから」
「だったら、ちっとは戦おうとしろ。ホラ、おまえが落っことした短剣」
 目の前に短剣を出された。おずおずと龍介は受け取る。
「なぁ、短剣で戦うのってすげー難しいと思うんだけど」
「普通は、最初のモンスターは弱っちい奴しか出ねぇんだよ。この街の周りにいるのはみんな初期モンスターばっかりだ。さっきのは例外なんだよ。バグかな?」
 青年は考えるように首を捻った。

つづく