ニセモノのコイビト 11

(初掲載日:2002年07月26日)

 はっきりとそこが、幸彦の手のひらの体温を感じ取っていた。
 ……恥ずかしい。あんなもの幸彦に握られてるなんて。
 ゆっくりと、幸彦の手が動きだした。それだけで俺は声をあげそうになって、身体を強張らせながら小さな悲鳴を洩らした。
「……ひぁ……っ」
 幸彦はそこを上下に扱きながら、俺の唇や頬や瞼にキスをしてきた。
 俺は初めて他人の手に触られてるそこに、羞恥心をかき立てられながらも、ものすごく気持ちよくなっていた。
「……やぁ……んっ。やっ……」
 泣きそうになりながら、左右に首を振る。
「嫌? 俺にこうされんの」
「……や……じゃない……っ」
 嫌じゃないどころか、俺の方が幸彦に欲情してたぐらいだし。
 でも実際に触られてしまうと、どうしていいかわかんなくなって半分以上はパニック状態だった。
 なんで幸彦が突然こんなことしはじめたのかとか、そんなこと考える余裕は俺にはなかった。
「気持ちいい?」
 訊かれて俺はこくこくと頷いた。幸彦の手は止まることなく動いてる。
「……すご……っ、いい……っ」
 自分の手でするよりも何倍も気持ちよかった。たちまち俺は昇り詰めて、さらになにも考えられなくなっていく。
「……あっ……ぁんっ。ゆき……っ、も、ダメ……出……っ」
「やや、横向いて」
 いきなり言われて、わけがわからないまま、幸彦に手伝ってもらいながら身体を横に向けた。
 さらに激しく扱かれて、気が遠くなる。
「あっ……ああああ……っ、ああっ……」
 激しい快感に包まれた。幸彦に握られたそこが痙攣する。白濁とした精液が迸り、やがて俺はすうっと楽になった。
 頭の中が晴れていく。ゆうべ抜いたはずなのに、もう溜まってたってこと?
 幸彦の手は、すでに萎えたそれをまだ握っていた。俺は急に恥ずかしくなって、小さな声で「離して」って言った。
 幸彦の手のひらもすっかり濡れてたけど、俺のそこも先走りの段階から濡れてしまっていた。どうしようと思って途方に暮れながら、俺はとんでもないことに気がついた。
「……ゆっ……幸彦……っ」
「なんだよ?」
「ここ、屋上なんだけどっ」
「それが?」
「俺、とんでもないモンぶちまけたんだけどっ」
 って焦ってたらいきなり抱き寄せられて、キスされた。
「……ぅん……っ」
「細かいことなんか気にすんな」
 ……細かいことなのか? 常識的に考えてもかなり問題だと思うんだけど?
「やや、楽になった?」
 そんな風に問いかけられて、俺はぎくっとした。
 バレてんじゃん。
 欲情してたこと。
「……だいぶ」
 俺は幸彦の胸にそっと頭を乗せた。
 でも、本当はもっと触ってほしかった。
「もっとしたい?」
 見透かしたように幸彦の声が耳元で囁く。
 俺は素直に頷いた。
「……もっとして」
 なに恥ずかしいこと言ってんだろう。
 膝のとこでひっかかってたズボンと下着が、幸彦の手で完全に引き抜かれた。
 背後から俺を抱きかかえるように、幸彦は座ってる。その幸彦の手で、膝が左右に広げられて、動揺した俺は一瞬暴れかけた。
「やだっ……幸彦っ。なにす……っ」
 誰も見てないけど、ここは外。屋上だからどこからも見えなくても、でも外なんだよ。
 なのに俺は足を左右に大きく広げられた超恥ずかしい恰好で、背後から伸びてきた幸彦の手で股間をいじられてた。
「幸彦……っ。恥ずかしいよぉっ……」
 あんまりな事態に泣きそうになって、幸彦の胸の中でがくがくと震えた。
「すぐ気持ちよくなるって」
「……うえぇ……」
 幸彦は背後から俺の萎えてるものを手のひらに包んで、ゆっくりと扱きはじめた。さっきの場面もやばいけど、もしもこんな光景を誰かに見られでもしたら、もうこの学校の中は歩けない。
 恥ずかしくてたまらないのに、俺はすぐに感じ始めてしまった。みるみる幸彦の手の中のものは硬く膨らんでいき、気持ちよさにだんだん俺もどうでもよくなってきてしまった。
 幸彦が、親指の腹で先端を強くこすってきた。びくんと腰が跳ねて、俺はあられもない声をあげた。
「……あぁ……んっ。やぁ……いい……っ」
 身体が崩れかけて、幸彦の胸に完全に全体重をかけてた。足は閉じそうになっても、また幸彦の手で開かれてしまう。
 激しい速度で上下に扱かれて、俺はもうどうにでもしてって気分になった。
 二度目のすさまじい快感に、身体がふわっと浮いた気がした。とんでもない解放感。気持ちよすぎてどうにかなりそうだった。
 しばらく幸彦の腕の中で放心していた。優しく抱きしめてくれたし、キスもしてくれる。
 こんなことされて、俺はどうやら嬉しいみたいで、しかも幸せらしい。
 ホントに俺……どうしちゃったんだろう。
 幸彦の腕の中でぼんやりしてたら、さっきまで俺を快感に導いてた手が、スッと下の方へ潜り込んだ。
「ひっ……」
 思わず悲鳴をあげた。
「どっ……どこ、さわっ……」
 激しく狼狽える。
 幸彦の指先が撫で回してる場所は、排泄にしか使ったことのない小さな狭い孔だった。
「触るのもダメ?」
 幸彦は切なそうにそんなこと言ってくる。俺は、ダメなんて言えなかった。
 黙って左右に首を振る。
 幸彦は触るだけだった。それだけでも、俺はすぐにでも変になりそうだ。
 身体がぶわっと熱くなって、風呂にのぼせたみたいに頭が働かない。
「ややのここ、キツそうだな」
 幸彦は確かめるようにそんなことを言う。
 ……ていうか、おまえいったいなにする気だって感じなんだけど?
 指が入り込んでくるんじゃないかって不安に怯えながらも、触られる感触が気持ちよくて逆らえない。
 ……ヴァージンって……もしかしてそこのことなのか?
 だとしたら、俺は幸彦にそれを狙われてるってことなのか?

つづく