薄い本

走る彼の額から飛び散る汗。

俺はそれを綺麗だと思った。

印刷所に届ける重要な版下。

途中で色んなトラブルがあって結局走ることになった。

彼は俺の視線など気にもとめず「あと十分ぐらい走れば着くはず」とだけ告げた。

リミットは午後五時。

ギリギリ間に合う。俺も一緒に走った。