爪あと

彼の背中に残る爪あと。

つけた奴は俺。

その瞬間以外は疎遠で、たいして言葉も交わさない。

愛を囁きあったこともない。

だけどその瞬間だけは情熱的に身体を重ねる。

彼の背中に爪をたて、俺だけのものだとひそかに主張する。

彼の背中に俺以外の爪あとを見つけたことはまだない。