お菓子の国の王子様は、野菜の国の王子様に想いを寄せておりました。
ところが野菜の国の王子様は、お菓子の国の王子様には見向きもしません。
ですがある日、お菓子の国の王子様は思い切って告白をしてみました。
お菓子の国の王子様
「野菜の国の王子様、どうか僕を食べてください」
野菜の国の王子様
「残念だが、私は甘い食べ物が苦手なのだ。あなたが甘くなければ食べることもできたのでしょうが」
自国に戻ったお菓子の国の王子様は、ショックのあまり数日ほど泣き暮らしました。
溢れ返る涙は透明なのに、甘い香りと味がしました。お菓子の国の王子様はとても甘かったのです。
涙が涸れてきた頃、お菓子の国の王子様に縁談の話が来ました。
お肉の国の王子様に見初められたらしいのです。
お菓子の国の王子様
「お肉の国なら、王子様は肉食なのでは?」
不思議に思いながら首をかしげました。
出会いの場が設けられたので、お菓子の国の王子様はお肉の国の王子様に会うことにしました。
お肉の国の王子様
「これはこれはお菓子の国の王子様。俺がお肉の国の王子です。あなたに惚れてしまいました。ぜひ結婚してください」
お菓子の国の王子様
「でも僕はお肉ではなくてお菓子です。ジューシーさもないし、ただ甘いだけですよ?」
お肉の国の王子様
「俺は雑食です。好き嫌いもなく、なんでも食べますから」
こうしてお菓子の国の王子様は、お肉の国の王子様と結婚することになりました。
毎夜のようにお菓子の国の王子様は、お肉の国の王子様に食べられることになり、寝室からは甘い声が溢れるようになりました。
甘くとろけるような日々を過ごしたお菓子の国の王子様は、毎日がとても幸せだったようです。