悠久の大陸 7

(掲載日:2017年02月25日)

 細い一本の蔓が何度も粘膜を往復する。粘液は中にも出されているようで、抜き差しされるたびにヌチャヌチャと濡れた音がした。細い蔓がもう一本増える。
「んっ、あっ……」
 二本の細い蔓が交互に抜き差しを繰り返す。ナツキの腿がガクガクと震えた。
「あっ、やだ……あっ」
 身体が熱い。頬が熱い。頭が熱い。快感が這い上がってきて、変になりそうだった。
 さらにもう一本細い蔓が増えた。三本が同時にバラバラの動きをする。狭い粘膜をそれぞれの動きで擦り上げてくる。ナツキの身体が強張った。
「だ、め……やっ、そこ、やぁっ……」
 奥の感じやすい場所にも、蔓の先端が緩やかにぶつかってくる。前立腺を狙って突いてきているようだった。
 望んでアダルトゾーンには来たが、こんなことは想定していなかった。ナツキが考えていたのは、こういうものではない。
 逆さまに吊られた不安定な状態で、得体の知れない蔓に犯されるためではない。
「んぁっ、リュウトっ、助け……うっ、あっ」
 必死でもがいたが、蔓は幾重にも厳重に絡みついている。細い蔓が四本に増えた。不規則な動きで、それぞれの蔓が抜き差しを繰り返す。
「ひっ、あっ、あぁっ……んぅっ」
 ナツキは力尽きそうだった。意識が朦朧としていく。
 永久に続くと思われたそれが、ふいに消えた。ナツキの中に大量の液体を放つと、四本の細い蔓が身体から離れたのだ。
「……?」
 助かったのかもしれない。一瞬そう思った。だが違った。
 四本の蔓とは比べ物にならないほどの、太い茎のような蔓が視界に飛び込んだ。先端の花の蕾のような膨らみも、細い蔓とは比較にならないほど大きい。だらだらと粘液のようなものを垂らしながら、ナツキの周辺を浮遊していた。
「あ……」
 ナツキはたちまち恐怖にかられたが、どうすることもできなかった。視線でリュウトを探したが、先程まで立っていた場所からはいなくなっていた。必死で視線をさまよわせたが、どこにもいない。たちまち不安が増大した。
「……どこ行ったんだ、リュウト……」
 ぜいぜいと息を切らしていたナツキの足が、大きく左右に開かされた。ギョッとする間もなく、大きなものに貫かれる。
「うあぁっ……!」
 細い蔓とはまったく違った。太くて大きく硬い蔓が、容赦なく突き進んで来た。身体ごと裂かれそうな恐怖。蔓は深い場所まで入ってくると、勢いよく引き抜き、抜け切らないうちにまた深く突いてきた。
「ふっ、くっ……うっ……」
 ナツキはなすがままになるしかなかった。狭い器官をねっとりと蔓が動く。他の蔓にさらにズボンと下着を破られ、別の蔓が下腹部のものに巻きついてきた。絞るように扱かれて、ナツキの全身がビクビクと跳ねる。
「はっ、あっ……あぁっ、ふっ、うっ、んっ」
 だんだんどうでもよくなってきた。全身を覆う快感に身を委ねればもっと楽になれるのではないか。そんな誘惑に負けそうだった。
 太い蔓の先端にある大きな蕾は、絶妙な力加減でナツキの体内を犯している。こんなものにやられて気持ちよくなるなんて、と内心許せない気持ちもあったが、湧き上がってくる快感をどうすることもできなかった。
 身体が熱い。脳が煮えそうだ。
 太い蔓の動きが早くなった。ナツキの身体がガツガツと突かれる。力尽きた人形のように、ナツキはされるがままに揺さぶられた。
「ひゃ……あっ」
 ナツキの身体の奥で、ドクンと蕾が何かを吐き出した。満足したように蔓が引き抜かれていく。溢れた液体がナツキの腿を伝っていく。
「……はぁっ、はっ……はっ……」
 ぐったりとするナツキの下腹部にはまだ他の蔓が巻きついており、根本から先端にかけて執拗に扱かれた。ビクビクとナツキの身体が跳ね、思わず喉を反らす。
「はぁぁっ……!」
 ビクンッと身体が跳ねて、思い切り吐精した。これでやっと解放してもらえるのだろうか。うっすらとそんな期待をした。だが、ナツキの足が再び開かれる。
「……え……?」
 新しい蔓だった。ドロドロに汚された窄まりに、グッと潜り込んでくる。
「あっ、やだっ、もう、やだっ……」
 もがいてもどうにもならない。ナツキは再び蔓に犯された。無限に続くのだろうか。意識が遠のき始める。
 その時、ザンッと何かを斬る音がした。
 と同時に、ナツキの身体が空中に浮く。
「あ」
 と思った時には一気に落ちていた。地面に向かって勢いよく落下していく。
 死ぬ。
 ふっと諦めの気持ちになった直後、地面に着く前にぶわっと身体が浮いた。透明な綿にズンッと沈み、そのままバウンドしたような感じだった。見えない何かがクッションの役割を果たしたのだ。そのまま、ぼよんぼよんと身体が浮いたり沈んだりを繰り返し、やがて緩やかになった。
 とにかく助かったらしいことだけを把握し、ナツキはそのままぐったりとしてまぶたを閉じた。もう何も考えたくない。
 だが、近くに何かの気配を感じて、うっすらとまぶたを開いた。リュウトだった。
「大丈夫か?」
「……そう見える……?」
 皮肉混じりの声でナツキは返事をした。喘ぎすぎて喉が嗄れている。疲労困憊でもう何もしたくない。涙やよだれで顔もぐちゃぐちゃだ。尻は妙な液体を放たれてぐちょぐちょだ。
「……これは、何?」
 透明なクッションをふにふにと揉みながらナツキが問いかけた。
「俺の魔法。ゲームだから落ちても死なないけど、一応ね」
「……落ちても死なないのか……」
 ナツキは、ほぅ、と小さく息をついた。震える自分の手を見つめる。
「死ぬっていう恐怖は本物だったけどな……」
「それよりナツキ、その体勢はどうにかできないのか」
「へ?」
 ナツキは自分の状態を改めて確認した。ズボンと下着を破られて、あられもない状態になっていた。そのままぐったりと、透明なクッションの上でしどけなくうつ伏せていたのだ。
「そんなこと言われても、俺、卑猥な蔓にずっと犯されてたんだから……」
「知ってる。見てたから」
 はっきりと言われてしまうと急に恥ずかしくなってくる。ダメージは大きいが、死にたいと思うほどではなかった。不幸な事故に遭ったのだ。そう思うしかなかった。起きた出来事があまりにもひどすぎて、頭が追いついていかないだけなのかもしれない。精神面も今のところは大丈夫そうだった。冷静でいられている。
 ナツキは透明なクッションの上でゆっくりと身を起こした。
「……リュウト?」
 彼のナツキを見ている目が何か変だ。そのことに気づいて思わず名前を呼んだ。リュウトがドキリとした顔をする。
「なに?」
「なんか……変な目で俺のこと見てる」
「まさか。気のせいだろ」
「いや、見てる」
 思わずナツキは、剥き出しになっていた股間を手で隠した。
「絶対変な目で見てる」
「わかったから、とりあえずそこから降りて、俺のコート貸してやるから村の宿に行こう。そこで風呂をもらって、綺麗にしないと」
「……歩けない」
 ナツキの足腰はガクガクと震えて、すっかり力が入らなかった。
「しょうがない、おぶってやるよ」
 透明のクッションがスッと消えた。
「あっ」
 ナツキが地面に落下する。怪我はしていないが、地味に痛い。
 大きな茶色のコートが目の前に出され、ナツキを覆った。裾が足首まであるので、確かにこれなら隠せそうだ。
「ほら」
 リュウトがしゃがんで背中を見せた。ナツキは少し気恥ずかしかったが、意を決して全身を預けた。軽々とリュウトが立ち上がる。
「急ぐぞ。また襲われたらたまったもんじゃないからな」
「う、うん」
 リュウトは細身な青年だと思っていたが、こうして密着してみると頼もしかった。がっちりとした筋肉で全身が覆われている。
 ナツキを背負っているのに速度が遅くなることもなく、むしろ小走りなのではないかと思えるような早さで森を突っ切って行った。
 じきに村に着いた。夜なので辺りは寝静まっている様子だった。
 リュウトは迷わず宿屋へ向かった。部屋はほとんど埋まっているが、一部屋だけ空いているということで、そこに案内された。部屋は狭いし、ベッドはひとつしかない。
「ナツキ、コートを脱いで、こっちに来て」
 リュウトがベッドに腰掛けてそう言ったので、ナツキは一瞬警戒した。
「……え、なんで」
「いいから早く。あいつらにいろいろされた身体の様子を確かめるから」
 ナツキは頬を少し赤らめ、しぶしぶコートを脱いだ。ひどい有様だ。布が破れて剥き出しになった股間が恥ずかしくて、つい両手で隠す。
 ベッドに座るリュウトの前に立つと、いきなり腰に手をかけてきてズボンを脱がされそうになり、慌てた。
「えっ、ちょっ、なにすっ」
「いいから、じっとしてろって。見る必要があるんだから」
「……見る……必要……?」
 ナツキはじっと耐えることにした。
 リュウトは照れることもなくナツキのズボンに手をかけ、ゆっくりと脱がしてきた。ボロボロになったズボンと下着を床に放られると、ナツキの下半身には何も身につけていない状態になる。
 つい手で股間を隠すと、リュウトの手でどかされた。
「…………っ」
 ナツキは耐えるように唇を噛み締める。
 リュウトはしばらく黙ってナツキの股間を眺めていたが、ふいに顎をしゃくった。
「ベッド、乗って」
「えっ?」
「お尻のほうも確認するから」
「え……」
 ナツキは泣きそうな顔でリュウトを見つめた。
「……やだ……」
「やだ、じゃない。蔓の粘液だらけの股間と尻で何を言ってんだよ」
「……風呂に」
「見るほうが先」
 ナツキは耐えるように唇を噛み締めて、しぶしぶベッドに乗った。

つづく