悠久の大陸 27

(掲載日:2020年10月10日)

 戦闘開始。
 ナツキは剣を振り上げた。助走をつけて地面を蹴る。
「やぁっ!」
 植物の形をしたボスモンスターを、思い切り斬りつける。赤い数字が跳ねた。少ない。数値が低い。これでは時間がかかってしまう。思っていたよりもだいぶ硬い。いや、強いのか?
 ナツキのレベルで戦える相手ではないのかもしれない。
(どうしよう……っ!)
 焦った。だがもう戦いは始まってしまっている。途中で逃げることができないわけではないが、できることなら倒したい。パーティで挑まず、ソロで行動したのがまずかったのだろうか。
「あっ」
 植物の根元でうねうねと動いている大量の根っこの一部が、ナツキの足首に絡みついた。引っ張られ、地面に倒れてしまう。心底から焦った。
(やばい……っ!)
 ここはアダルト空間。触手に犯された記憶が蘇る。フラッシュバック。
(やだ……っ!)
 根っこが腕にも胴体にも絡みついてきた。ぐるぐるに巻かれる。しかも地面に引きずられ、ライフがガンガン減っていく。
「やだっ、やっ……」
 痛い。背中が痛い。引きずられた痛みはリアルだ。
 しかも空中に全身を持ち上げられて、ガンッと地面に叩きつけられた。ライフがごっそり減る。反撃なんてとてもできそうにない。強い人はこういう時どうしているのか。根っこに絡みつかれた状態のまま、剣を振るうのだろうか。
 根っこを斬る。いや、とてもそんな余力はない。
 無理だ。
 ガンッと地面に叩きつけられた。ナツキはそのままぐったりとする。
 ……無理だ。
 ライフがゼロになり全滅すると、直前の状態で蘇る。今の場合はボスモンスターと戦う前の状態まで戻る。ペナルティはある。生き返る代わりにレベルがひとつ下がる。
 レベルが下がらない方法もある。課金すれば。
「……あ……?」
 根っこが不穏な動きを見せる。嫌な予感が的中したようだ。手足、身体の上をずるずると這う。
 装備が脱がされていく。だが全身が痛み、動けない。
 ナツキは深く息をつき、早々と諦めた。全身の力を抜く。
 実はすでに気持ちよくなりはじめていた。気持ち悪いはずの根っこが気持ちいい。ずるずると身体の上を這われ、無駄に数値を高められた性感帯が反応する。
「……はっ……ぁっ……」
 びくびくと小刻みに震えた。根っこは心得たような絶妙な動きを見せる。おそらくナツキの性感スキルの高さに対応しているのだろう。
「ふっ……」
 足がむき出しになる。素肌を根っこが這う。足を高く持ち上げられた。
 いつの間にか下腹部もむき出しだった。よく見れば胸元も。
「あっ」
 乳首の上を根っこが這う。絶妙な力加減と速度。ナツキはめまいでくらくらした。
 根っこは局部にも巻きつき、何か粘液のようなものを分泌しながら、ぬるぬるとしごいてきた。
「あっ……」
 もうナツキにはどうする術もなかった。されるがままになるしかない。
(……だめ、だ……気持ち、いぃ……っ)
 巻きつかれた両足は、左右に大きく広げられたまま固定され、窄まりを狙うように数本の根っこが迫ってきた。
 狭いそこに、強引にねじ込むように何本かが入ってくる。
「うぁっ……」
 根っこは奥まで入り込むと、ずるずると引いていく。そしてまた入ってきた。溢れるほどの粘液を滲ませ、ぬちゃぬちゃと音を立てながら縦横無尽に動き、這いまわる。
 気持ち悪いはずなのに、気持ちよくて、ナツキはもうわけがわからなくなってしまった。
「んっ……、んっ、んぁっ……」
 がくがくと全身を震わせながら、目元に涙を滲ませ、悶え喘ぐ生き物と化していく。
(数値がっ……数値がもっと低かったら、こんな、風には……っ)
 意識がどろどろに溶けていく。自分がどういう状態なのかさえも、わからなくなっていく。
 粘膜をなぞり、押し上げてくる根っこが、もっとも感度の強い場所を攻撃してくる。ナツキはびくりと跳ね、目を見開いた。
「あっ、あぁっ、あ……っ、ひぁっ……」
 達する寸前に、どこかから剣が閃いて、根っこがブチッと切れた。シュウウと音を立てながら、根っこがすべて霧散していく。
 ナツキは涙の滲んだ瞳で、剣の主を見上げた。
「いったい何をやってるんだ、おまえは」
 呆れたような声で、リュウトが告げた。そして、ナツキには目もくれずに、植物のボスモンスターの方へと向かっていく。
 ザンッ!
 ザンッ、ザンッ、ザンッ、ザンッ、ザンッ!
 舞い踊るように剣を操り、たちまち倒してしまった。
 早かった。
 しかも無傷。反撃すらさせない強さ。
 植物のボスモンスターが霧散し、金貨やアイテムがドロップされる。その中に強そうな武器もあった。大地の剣だ。
「これはおまえが使うといい。少しはマシな強さになるだろう。火の属性の敵なら炎の剣、水の属性の敵なら氷の剣、雷の属性の敵なら雷鳴の剣、土の属性の敵なら大地の剣をドロップする。店には売ってない武器だから、しばらくは重宝するだろう。ちなみに素材アイテムを揃えてから改造すると、新しい武器として生まれ変わる」
 ナツキのアイテム欄に大地の剣が入った。経験値もたくさん入り、レベルもあがった。
 紅潮した頬のままどこか放心したような顔で、ナツキはのろのろと上半身を起こした。全身が熱かった。開発されきった性感帯が疼いてたまらない。達する寸前だったのだ。まだ達していないのだ。
「リュウト」
 自分でも、甘えるような声を出していることはわかっていた。恥ずかしい姿をさらしていると思っていた。頬を染め、潤んだ眼差しでリュウトを見上げる。
 リュウトは冷静だった。少なくともそう見えた。
「あの……リュウト」
 ナツキはもじもじとした。言いたいが、なかなか言えない。心の中の葛藤が邪魔をする。それでも意を決して口を開いた。
「リュウト……乳首、舐めて」
「なんだ急に」
 リュウトが苦笑した。ナツキは再びもじもじとした。
「俺、イキそうで、まだイッてなくて、でも、イキたくて……」
「俺にイカせろって? とんだ女王様だな」
「そ、そういう、わけじゃ……」
 ふわっと空気が動いた。顔を向けると、リュウトがすぐ傍にいて膝をついていた。ふっと微笑んだかと思うと、おもむろに指先を持ち上げ、ナツキの乳首に触れた。
「んっ……」
「まるで腫れたように勃ってるな」
 突起の周りの茶色の部分を撫でられた。
「はぁっ……」
 くらりとした。気持ちよくてめまいがする。
(もっと……もっと触って……)
 ねだるような顔をしていたのだろうか。リュウトの顔が近づいてきて、キスされた。舌と舌が触れる。絡み合う。押し合う。
(気持ちいい……)
 頭がぼうっとする。
 リュウトの顔がナツキの胸元へと落ちた。舌先が覗く。疼く突起に触れた。唾液で濡れる。下から上へと押し上げられるように、舌で撫でられる。
「あっ……」
 全身が痺れたようになった。まるで電流が流れたように。
「……もっ、と」
「ん?」
「もっと……舐めて……っ」
 熱さに声が震えた。
「けしからん乳首だな」
 リュウトがふっと笑った。突起が唇に挟まれ、絶妙な力加減で吸われる。
 ナツキはまぶたを閉じ、眉根を寄せ、びくびくと全身を震わせた。
 乳首を舐められるだけの時間が長く過ぎていった。ナツキは少し焦れた。これだけでは足りなかった。
「リュ、リュウト……っ」
「ん?」
「あ、あの……」
 ナツキは潤む瞳でリュウトを見つめると、しどけなく足を開いた。
「い、挿れ……て」
「どこに?」
 リュウトの眼差しがきらめく。ナツキは頬を真っ赤に染めながら、足を大きく開く。
「お、おしり……おしりに、挿れて」
「いいよ。おいで」
 リュウトは今まで見たことのない、最高の笑顔をナツキへと向けた。
 腰の防具を緩め、ほどく。本当はゲームだから一瞬で取り外すことができるのだが、敢えてリュウトはゆっくりと外していく。その様子を焦れたように見つめるナツキを、見ることができるからだ。
 下腹部がむき出しになったリュウトは、ナツキに向けて両腕を広げた。
「ナツキ、おいで」
 引き寄せられるようにナツキが、リュウトの腕の中へと落ちた。
 目の前の肩につかまる。座るリュウトの上にまたぐ姿勢で、ナツキが腰をおろしていく。
「はぁっ……あっ、んっ」
 ゆっくりと粘膜が、リュウトのもので押し開かれていく。熱かった。
 もう何も考えられなかった。体内にいるリュウトのことしか考えられなくなっていた。
 下からも突き上げられるが、ナツキも自分から腰を揺らめかせる。リズミカルに緩急をつけながら奥まで貫かれ、ナツキの腿が震えた。
「ナツキの中、気持ちいいよ」
「俺……も、俺も、気持ちいい……っ」
 性感スキルの数値が高いせいなのかもしれない。気持ちいい以外の何も考えられなかった。だが、もうなんでもよかった。ナツキは今、リュウトと繋がっていたい。愛し合っていたい。
 疼く粘膜は、リュウトの膨らんだ先端に擦り上げられるたびに歓喜している。狭い場所を強引に押し広げられ、好き勝手に蹂躙されたい。予想外の場所を思わぬ角度から責め立てられたい。どこを突かれても気持ちいいしか考えられない。
 リュウトの手が、ナツキの下腹で勃ち上がっているものに絡みついてきた。先走りの透明な蜜を親指ですくい取られ、全身に塗りたくられる。ぬるぬると手が上下して、根元から先端にかけて容赦なくしごかれた。
 気持ちよすぎて頭が変になりそうだ。
「リュウ……リュウト……好き……っ」
 思わず口走っていた。ナツキは自分でも、どうしてそんなことを言ってしまったのか、よくわからなかった。だが、どうしても言いたかった。言わずにはいられなかった。
 この瞬間、スオウのことは微塵も思い出さなかった。
「俺も好きだよナツキ」
 リュウトがケモノのように息を切らしながら、微笑んだ。
 ひときわ強く下から突かれ、ナツキはのけぞる。
「ひぁっ……あぁっ、あっ、いっ……」
 リュウトがナツキの胸に顔を寄せ、乳首を甘噛みした。
 中も局部も乳首もほぼ同時に責め立てられ、ナツキの意識が混濁する。
「あっ、あぁっ、いっ、いく……もう、だめっ……」
 ガクガクと雷に打たれたように全身が揺れた。ほぼ同時にリュウトの手の中から白濁が飛び散り、さらにナツキの奥にも熱い飛沫の奔流が打ち込まれた。
 力尽きたように、がくりと力が抜ける。
 ぜいぜいはぁはぁと激しい息遣いだけが、互いの間に漂っていた。
 ナツキの頬がリュウトの手のひらに捉えられる。リュウトの顔がゆっくりと迫り、互いの唇が重なった。
「愛してるよ、ナツキ」
 その囁きはナツキの鼓膜から入り、身体の奥まで浸透していった。
 なぜかはわからない。
 なぜかはわからない。
 だが、リュウトからそう言われるのはとても気持ちがよかった。
 身体の奥底から幸福感が湧き上がり、ナツキを満たしていった。

つづく

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