悠久の大陸 15

(掲載日:2017年03月06日)

「……もう、ほんとにむり……しんじゃう……」
 スオウの胸に全身を預けながら、ナツキは心の底から訴えた。
「ナツキ、かわいい」
 スオウが感激した様子でナツキを抱きしめる。
「もっと挿れて泣かせたい」
 スオウはナツキの頬に頬を寄せた。
「今日はここまでにしよう。しばらく休憩」
 リュウトはそう告げると、部屋で休むのではなく、姿を消した。
「あれ?」
 スオウは左手首の端末を開き、リュウトのステータスを確認した。
「あいつ、ログアウトしてるぞ」
「…………」
 ナツキは反応しなかった。快感による身体の震えが止まらず、それどころではなかったのだ。まだ体内に何か入っているような気がしている。
「ナツキ、大丈夫?」
「……だいじょぶ、じゃない。からだ、へん。あたまもへん……」
 スオウは、震えるナツキの胸にそっと触れた。
「ひゃ、あっ」
 ビクビクとナツキが跳ねた。スオウはドギマギしながら、ナツキの胸に舌を這わせた。
「ひっ、うっ……」
 全身が性感帯になったかのようだった。どうしてこんなに感じてしまうのか、自分でも自分がわからない。
 スオウの舌が、硬く尖る右胸の突起を舐める。そんな風にされてしまうと、ナツキはますますおかしくなりそうだった。
 唇に含まれたり、強く吸われたり、唾液を絡ませながら舐められたりしているうちに、ナツキの腰が落ち着かなくなった。もじもじと焦れたように全身を揺らめかせ、まるで誘うような動きになってしまう。
「だめだ。俺、もう我慢できない。据え膳のナツキに何もしないなんて無理だ」
 スオウの下腹のものは痛いほど元気になり、ナツキを仰向けに転がして両足を左右に押し広げた。
「うぁっ……」
 ひくひくと収縮している精液にまみれたピンクの窄まりに、スオウは深く突き入れた。
「……あーっ……あぁっ……」
 ナツキが狂ったようにのけぞった。
「……待っ……て、スオウ……っ、あたま、もっと変になる……っ」
「いいよ変になっても。ナツキがどんな風になっても、俺ナツキのこと好きだから」
「だめっ、も、いく……っ」
「まだ挿れただけだぞ」
 ナツキがビクンビクンと跳ね、吐精した。
「これがトコロテンってやつか」
 スオウは素直に感激した。
「ナツキが敏感になりすぎて、俺も頭がおかしくなりそうだ」
 スオウはナツキの首筋に唇を這わせ、胸の突起を指先でいじりながら腰を揺すった。
「ぅあっ、んっ」
 ビクビクとナツキが震える。
「乳首がこんなに感じちゃうぐらいだから、前立腺はもっと大変なことになってんじゃないの?」
「あうっ、やっ、だめっ、そこ、トントンしないで……っ」
「トントン?」
 スオウは腰をグラインドさせ、ナツキの粘膜をこねくりまわす。敏感になりすぎたそこはすっかり熱かった。
「トントンってこういうの?」
 スオウは軽く腰を突き、前立腺の辺りを刺激した。
「ひっ……あっ、そこ、やだ……っ」
「ここトントンされると、やなの?」
 スオウは面白がって、前立腺の辺りを屹立の先端でつついた。
「あっ、あっ、あっ、いくっ、いっちゃうから……っ」
「ナツキのここもすっかり敏感だな。大丈夫かな。元の生活に戻れる?」
 スオウはひそかに心配になったが、目の前の据え膳をいただくほうを優先させた。
 奥のほうを小刻みに揺らすと、ナツキが苦しそうに喘いだ。
「ふっ、あっ、やだやだっ……いくっ……」
「もしかして、もうイキっぱなしなんじゃないの? ずっとイッてるの?」
 こくこくとナツキが頷く。
「俺の、からだ、へんなの……っ」
「そんなナツキを見てる俺も変になりそうだよ」
 スオウは体位を変えながらナツキを抱き続ける。気持ちよさに勝てずにいつまでもやっていたら、ふいにリュウトが戻ってきた。
「まだやってるのか」
「だってナツキがかわいいんだ」
 リュウトはスオウにのしかかられているナツキの傍に来た。
「まだ知らないと思うから教えてやるよ」
 ナツキは朦朧とした意識のまま、リュウトを見上げた。
 リュウトはナツキの左手首を手に取ると、勝手に端末を開いてナツキのステータス画面を見せてきた。
「アダルトゾーンにいる時にしか見ることができない、スキルとパラメータがあるんだ。ここに性感っていう項目がある。まだこっちに来たばかりなのに、ナツキの数値はもうこんなに高い。スキルの数値が最大になると、達人になる。粘液の催淫効果が切れているのに、ナツキがこんなに気持ちよくなってしまうのは、この数値のせいだ。もちろんリアルでは通用しない、ゲーム内だけのスキルだけど。だから、リアルのナツキはこんなじゃないから安心していい。今ナツキはこの性感を磨きに磨いている状態なんだ。最大になった後はそれ以上あがらないけど、ある条件を満たせば限界突破することができて、さらにスキルを磨くことができるんだけど、それはまたそのうち話す」
 頭が働いていないので、リュウトが何を言っているのかナツキにはよくわからなかった。どうして彼はその説明を今しているのだろう。
 一方スオウはそんな話などどうでもいいかのように、ナツキの体内を突き上げてくる。
「ぅんっ、ふっ……あっ」
 リュウトはそんな二人を冷静に眺めながら告げた。
「俺、ちょっとの間パーティ抜けて違う場所に行くから。用があったら端末のメッセージで呼んで」
「りょーかい」
 ナツキの中を突きながらスオウが応じた。リュウトが部屋から出ていく。
「べつに戻って来なくてもいいんだけどな。ナツキさえいれば俺は満足だし」
 リュウトがいなくなってから、スオウがつぶやいた。ナツキの胸に舌を這わせてくる。
「ナツキはどうなの? あいつからは一度逃げたんだろ?」
「……わか、んな……っ」
「わからない?」
「……俺、どうするのが、正解、なのか……自分でも、よく……」
「俺とセックスしてるのが正解だよ」
 スオウが言い聞かせるような声で言った。
「それが、ナツキの正解」
 ナツキの瞳が戸惑うように揺れた。
「……ど、して……?」
「なにが?」
「ど、して……スオウは……俺に、固執、するの」
「好きだから」
「……どこ、が……」
「全部」
 スオウはナツキの深い場所をゆっくりと突いた。
「俺はナツキの全部が好きだよ」
 ぞくぞくとナツキの全身が震えた。まだ出会って間もないのに、どうしてスオウがそう言い切れるのか、ナツキには全くわからなかったが、好きだと断言されるのは悪い気がしなかった。
「……でも、俺は……」
「誰とも恋愛する気ない?」
 こくこくとナツキが頷く。
「……男を、好きに……なるとか、俺、わかんない……っ」
「今はいいよ、それでも。今はね。無理なら恋愛感情は持たなくてもいいけど、俺とはこれからもセックスしてね」
 ガツガツと突き上げられ、ナツキはのけぞった。
「あっ、ふあぁっ……」
 ビリビリと全身がしびれる。また何も考えられなくなり、ナツキは快感の海に溺れた。もう何度達したかわからない。達しすぎて身体も頭もおかしくなりそうだった。

 こんなに性感ばかり鍛えられて、この先、普通にゲームができるのか心配だったが、落ち着いてみると案外大丈夫そうだった。
 ナツキはベッドに腰掛け、自分のステータス画面を開き、眉間にしわを寄せながら見つめる。確かに性感の項目だけ異様に数値が伸びていた。
 よく見ると性感だけではなかった。その隣には性技の項目まである。
「これってやられる人とやる人で数値違ってたりするのかな」
 ナツキが問いかけると、スオウが答えた。
「そりゃするだろ? 俺は性感よりも性技の方が数値高いし」
「……なるほど」
「俺が気持ちよくなることよりも、ナツキを気持ちよくさせるほうに重点置いてるから」
「そ、そうなんだ……」
 それはありがとうと言ったほうがいいのだろうか。ナツキは複雑な心境になった。
 スオウが背後から抱きついてくる。耳の辺りや首筋に口づけられ、くすぐったかった。
「あっ……」
 ビクッと身体が反応する。性感を鍛えられてしまうと、ほんのちょっとのことでも感じてしまうから大変だ。
(数値のせい数値のせい)
 ナツキは必死で頭の中で唱えた。スキル経験値の高さゆえに、否応なく感じてしまう身体になっただけなのだ。こんなに感じやすくなってしまったのはナツキのせいではない。すべて数値の高さが悪いのだ。
「あいつ、どこ行ったんだろな?」
 スオウが言った。リュウトのことらしい。
「まあ、いいじゃん。普通にゲーム進めようよ」
「ナツキはさ、本当に誰にも恋愛感情ないの?」
「え?」
「これだけセックスしといて、何も思わないのかなあって。まあナツキは男だから、そういうとこも一般的な女とは違うのかもしれないけど」
「一般的な女はどうなるんだよ?」
「普通は身体を重ねた男には情が湧くし、少なからず好意を持ったりとか」
「ふうん」
 ナツキは取り合わなかった。
「それはレイプじゃない場合の話だろ? 俺のはほとんど合意じゃなかったから、そのケースには当てはまらないよ。催淫効果で狂ってる時にやられたり、身体が動かなくなった時にやられたり、三人でってなった時も俺の意見なんて無視されてたし。あんなことされたのにパーティ解除せずに、普通に一緒にいることに感謝しろよな」
 ナツキは言い返したが、スオウの心には響かなかったようだ。彼の心の中では、むりやりではなく合意ということにでもなっているのだろうか。
「でも俺はナツキのこと好きだよ」
 まっすぐな眼差しでスオウが言った。
「…………」
 ほだされているわけではない。決してない。ナツキは内心で自分自身に言い聞かせた。

つづく